十二月大歌舞伎 第一部

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昼の部
一、たぬき(A・Bプロ)
ユーモアあふれる人情喜劇
 深川の火葬場では、放蕩三昧の末に急死した柏屋金兵衛の葬式が営まれています。ところが日も暮れた頃、金兵衛は再び息を吹き返します。肩身の狭い婿養子の暮らしに辟易していた金兵衛。これを幸いにこのまま自分は死んだことにして、女房おせきのもとへは戻らず、妾のお染と生きようと考えますが…。
 人間の心の表と裏を描いた、おかしさと切なさが巧みに混じり合う喜劇の傑作をお楽しみください

二、保名(やすな)(Bプロ)
恋人の面影を追い、春の野をさまよう
 桜と菜の花に彩られた春。野辺をさまよい歩くのは、恋人が自害したことを嘆き、正気を失った保名。亡き恋人の姿を追い求めますが、現実に引き戻され、形見の小袖を狂おしく抱きしめて悲しみにくれるのでした。
 愛する人を失った悲しみを、清元の名曲に乗せて表現する人気舞踊をご堪能ください。

三、壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)(A・Bプロ)
愛する人を思い奏でる、麗しき音色
 平家滅亡後、平家の武将悪七兵衛景清の行方を詮議するため、問注所に引き出された景清の愛人、遊君阿古屋。景清の所在を知らないという阿古屋に対し、岩永左衛門は拷問にかけようと主張しますが、詮議の指揮を執る重忠はこれを制します。重忠が阿古屋の心の内を推し量るために用意させたのは、琴、三味線、胡弓。言葉に偽りがあれば音色が乱れるはずだと、三曲の演奏を命じられた阿古屋は…。
 実際に楽器を奏でながら心情を細やかに表現しなければならない阿古屋は、女方屈指の大役。絢爛豪華な義太夫狂言の名作を、日替わりの配役でご覧いただきます。

 

 

オケの定演のある日はお休みなので、お昼はヒマになります(笑)。

そこで歌舞伎の第一部を突っ込んでみる、という名案を思いついたのです(笑)。今更かよ…。

今回はその第一段。

 

『たぬき』の様な新作物は大好きです。

中車さんの本領発揮というところでしょうか。

話によると、江戸時代の商家は殆ど婿養子だったとか。でないと、遊び呆けてしまうからとか。

でも、馴染みの太鼓持ちや芸者がお弔いの席に顔を出すなんて、かなりの遊び人だったのでしょう。

 

前半はユーモラスな人情物ですが、後半はしまるところも多々あり良いお芝居でした。

中車さんのお化粧も変わっていた様な…。

前半では、息子に対して全くの無反応だったのに、後半になって愛情を感じる様になったのは心境の変化でしょうか。

いなくなって、全ての歯車が変わってしまう位に影響力のある人っているものですね。

 

ちなみに児太郎さんの今までのイメージは、今回の役のお染の様な、小粋ないい女風の女性でした。

今回、阿古屋や白雪姫のお后を拝見して、大きくイメージが変わりました。

とても楽しみですね。

 

保名は安倍晴明の父親(天文学者)の弟子だった人だそうです。

恋人を失った悲しさが出ていて、怪しまでの美しさでした。

華やかな柄の小袖から、恋人はさぞや美しい女性だったのだろうと想像出来ます。f:id:shiho2020:20191229184906j:image

やはり玉三郎さんです。

 

阿古屋について、玉三郎さんがインタビューを受けておられました。

昔、歌右衛門さんから阿古屋を引継いでからは、1人で阿古屋を演じられていました。

去年、初めて3人で阿古屋を演じたのですが、それぞれのいい所を取り入れて阿古屋を作っていく勉強の為…と言ったところで、

「お客様が楽しんで下さるのが一番なのですが」とすかさず仰っていましたが「喜ばない客はいないでしょう」と心の中でツッコミを入れました。

あまり間を空けないで役を馴染ませる為に、今年も上演したそうです。

 

前回の阿古屋は“罪人として責めを受ける”とあったので遠慮しました。

が、こんなにも素晴らしい(サービス満点)舞台だったとは…。

次回はいつ上演されるか分かりませんが、

楽しみな演目が増えました!