七月大歌舞伎 第二部(7/26)

岡村柿紅 作

一、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)
 
山蔭右京             白鸚
侍女千枝             米吉
侍女小枝             莟玉
太郎冠者             橋之助
奥方玉の井         芝翫

 

浮気な夫と嫉妬深い妻の滑稽味あふれるひと幕
 都の大名の山蔭右京は、恐妻家でありながら大変な浮気性。愛人の花子が都へやって来たことを知り、なんとか会いたいと願いますが、奥方玉の井が外出を許しません。そこで右京は、邸内の持仏堂で一晩座禅をすると嘘をつき、家来の太郎冠者を身替りに立てて花子のもとへ向かいます。しかし、このことが玉の井に発覚すると…。
 狂言の大曲「花子」をもとにした舞踊劇。ほろ酔い加減で帰ってきた右京が、自身と花子を踊り分けながら逢瀬の様子を物語る場面はみどころの一つ。玉の井は単なる恐妻ではなく、その本心には夫を思う一途な愛が内在しています。現代にも通じる夫婦のやり取りが可笑しみを誘う松羽目物の名作をお楽しみください。

 

 

四世鶴屋南北
二、御存 鈴ヶ森 (ごぞんじすずがもり)
 
幡随院長兵衛     錦之助
東海の勘蔵         権十郎
北海の熊六         彦三郎
飛脚早助             吉之丞
岩間の蟹蔵         橘太郎
和尚の鉄             片岡亀蔵
土手の十蔵         團蔵
白井権八             菊之助

 

「ゆるりと江戸で…」長兵衛と権八の出会いを描く名場面
 東海道品川宿付近の鈴ヶ森。刑場に近いこの界隈は、夜になると無頼の雲助たちの溜まり場となる物騒な場所です。そこへ通りかかったのは、お尋ね者の美少年・白井権八。暗闇から襲いかかる雲助たちを見事な刀さばきで斬り払うと、その様子を駕籠の中からじっと見つめる一人の男から声をかけられます。その男こそ、江戸随一の侠客・幡随院長兵衛で…。
 長兵衛の風格と懐の深さ、権八の色気と殺気、二人のコントラストが鮮やかに浮かび上がる人気の場面です。権八と雲助たちのユーモラスな立廻りや、運命的な出会いを果たした長兵衛と権八が「ゆるりと江戸であいやしょう」と再会を約束する場面など、みどころあふれる鶴屋南北の名作をご堪能ください。

 

 

『身替座禅』は、狂言の『花子』が由来と言う事で、粗筋ひ知っているのですが、

わかっていても笑える演目です。

加えて、奥方を芝翫さんのような男らしい役者が演じたり、考えるだけで可笑しいです。

そして、白鸚さん。この人は元々こんな人なんじゃないか、と思える位の演技(浮気の後はこんなんじゃないか)。

それからそれから…。なんと言っても侍女役の米吉さん、莟玉さんの可愛いこと!

まるでお人形さんの様。

失礼ながら、芝翫さんとの比較で余計に可愛いく見える(笑)。

 

 

『鈴ヶ森 』に“ごぞんじ“と付くのは、江戸時代では幡随院長兵衛も白井権八も有名だったから付くだと、イヤホンガイドで言ってました(笑)。二人とも実在の人物だそうです。

 

錦之助さんのセリフの中に「播磨屋の兄貴の…」という所がありましたが、

本来、錦之助さんとダブルキャストだった吉右衛門さんの事を言っているのでしょう。

 

療養中の吉右衛門さん、どうかご自愛くださいませ。