河竹黙阿弥 作
奈河彰輔 補綴
通し狂言天一坊大岡政談(てんいちぼうおおおかせいだん)
紀州平野村お三住居の場より大岡役宅奥殿の場まで
大岡越前守 松緑
山内伊賀亮 愛之助
池田大助 坂東亀蔵
平石治右衛門 歌昇
下男久助 巳之助
下女お霜 新悟
近習金吾 男寅
同 新蔵男寅 鷹之資
嫡子忠右衛門 左近
藤井左京 青虎
名主甚右衛門 寿猿
お三 笑三郎
伊賀亮女房おさみ 笑也
赤川大膳 猿弥
僧天忠 男女蔵
吉田三五郎 松江
大岡妻小沢 門之助
天一坊 猿之助
家庭内で色々有るのですが、歌舞伎も音楽会も、ソコソコ楽しんでいます(笑)。分かる人だけ頷いて下さい。
とは言っても四月の演目なのですが、決して色々有って遅くなった訳ではなく…。
本当に悪い人はいるもんだなァ、と思った演目でした。
大河ドラマの『八代将軍吉宗』で、武田真治さん演じる天一坊が出てきました。その時「大河ドラマでもフィクションの様な内容も入れるんだァ」と思いましたが、
天一坊は実在の人物とそうです。驚きです。
全てが上手くいって(運良く悪い人達に巡り会って)、事件になった訳ですから。
天一坊が吉宗の子供になりすますところがゾクっとする。
吉宗の子供である証拠の書面や紋の入った短刀を奪う為に、持ち主のお婆さんを酒に酔わせて…。
実際に首を絞める所は無いのですが、天一坊が荒縄の強さを試しながらお婆さんの方に歩いて行くだけで、これから起こる恐ろしい事が分かるのです。
吉宗の子供の話しを聞くまでは本当にいい少年で、皆から慕われていました。
それが思わぬタイミングで、人を殺める様になってしまうのてす。現実にもありそうな…。
大岡越前も実在の人物ですが、大変優秀な人物だったそうです(イヤホンガイドより)。
その大岡越前の美しい見せ場(と言っていいのか)。
天一坊のウソを証明する為、部下を調査に出したのですが、期限の10日になっても戻って来ない。
そこで妻、息子と共に自害する段。
三人とも白い衣装で本当に美しい。
側近に首を切る様に伝えるのですが、側近はどうか思い直してほしいと説得しますが…。
いや、部下が戻って来ると分かっていても、心を打つ一幕でした。
天一坊達が大岡越前邸に呼ばれて、得々としていると、昔の天一坊を知っている人物が出てきて、天一坊の体にアザがある事を言って化けの皮が剥がれるという所でおナワになりました。
一味の中に元武士だった浪人がいたのですが、大岡越前邸には行かず宿で切腹をしたそうです。恥をかくなら…、という事でしょう。